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彼女とちゃんと話をしたのは、それが最初で最後だった。
それからはまた彼女を遠くから眺めるだけの生活だった。
あっという間に受験の季節になって、学校も自由登校になった。
卒業式で写真の一枚も撮ることができず、クラスの雰囲気に便乗してアルバムにコメントを書いてもらうくらいが精一杯だった。
あの時、俺は彼女のアルバムになんて書いたんだっけ。
彼女はなんて書いてくれたんだったっけ。
内容は覚えていないけど、びっしりと書き込まれたアルバムのコメントページの中、彼女の綺麗な字だけが特別に見えたのを覚えている。
大人になって、すっかり初恋を思い返す回数も減っていたのに、彼女のウェディングドレス姿を見たら思い出してしまった。
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