初恋の思い出

11/12
前へ
/12ページ
次へ
結局彼女は志望していた大学とは違うけれど、同じ東京の大学に進学して、俺は東京ではないが関東の大学に進んだ。 たぶん、会おうと思えば会える距離だったし、手段はあったと思う。 けれど、連絡を取ろうとはしなかった。 彼女が地元に帰ってきていることも、佐々木から結婚式の招待状が届くまで知らなかった。 初恋は実らないものだって言うし、そんなものだろう。   スマートフォンの通知音が鳴って我に返る。 見ると、新着メッセージが一件。 『明日、何時に帰ってくるの?』   同棲中の彼女からのメッセージだった。 俺は『17時には帰る』と送った。 それからしばらくして、『なんか土産いる?』と付け加える。 すぐに彼女から『テレビで紹介されてたお菓子がいい』と返信があった。   そういえば、テレビでこっちのお土産が紹介されてたのを一緒に見たっけ。 何が取り上げられてたかわすれてしまったけど。   怒られるかもな、と思いつつ『なんだったっけ?』と送信する。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加