初恋の思い出

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「だけど、佐々木に先を越されるとは思わなかったな」 高校時代同じクラスだった山内が、唐突に言った。 山内は最近2年付き合った彼女に振られたばかりらしい。 「俺も早く結婚してぇわ」という山内に、俺も適当に「そうだな」と相槌を打つ。 話をしているうち、酔っ払った山内が泣き出してしまった。 別れた彼女らしき名前を呼んでいる。 傷心中の山内にとって、幸せそうな結婚式は見ていて辛かったのだろう。 俺もそんな経験がないわけではない。 「山内もこんなだし、そろそろお開きにしよう」と俺が言って、プチ同窓会は終わった。 山内と実家が近いらしい近藤が送り役を申し出てくれて、残った俺たちは適当に次の約束をして別れた。 俺もタクシーを拾うか、そんなことを考えていたらポツリ、と雨が鼻先に当たった。
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