6人が本棚に入れています
本棚に追加
「だけど、佐々木に先を越されるとは思わなかったな」
高校時代同じクラスだった山内が、唐突に言った。
山内は最近2年付き合った彼女に振られたばかりらしい。
「俺も早く結婚してぇわ」という山内に、俺も適当に「そうだな」と相槌を打つ。
話をしているうち、酔っ払った山内が泣き出してしまった。
別れた彼女らしき名前を呼んでいる。
傷心中の山内にとって、幸せそうな結婚式は見ていて辛かったのだろう。
俺もそんな経験がないわけではない。
「山内もこんなだし、そろそろお開きにしよう」と俺が言って、プチ同窓会は終わった。
山内と実家が近いらしい近藤が送り役を申し出てくれて、残った俺たちは適当に次の約束をして別れた。
俺もタクシーを拾うか、そんなことを考えていたらポツリ、と雨が鼻先に当たった。
最初のコメントを投稿しよう!