6人が本棚に入れています
本棚に追加
「吉田くんは、大学どこに行くの?」
ふと彼女がそう聞いてきた。
俺はぶっきらぼうに志望する大学名を言った。
「すごいね、難関校じゃない」
吉田くん頭いいもんね、と彼女が褒めるのを、俺はなんともない顔をして聞いていた。
心の中ではすごくにやけていた。
「わたしはね、東京の大学に行くつもりなんだ」
知ってる。
俺は彼女がどこを志望するのか、友達と話していたのを聞いていた。
平静を装って「そうなんだ」と相槌を打った。
「離れちゃうね」
え、と俺の口から声が漏れる。
今のは聞き間違いだろうか。
言葉の真意が知りたくて、俺が訊こうとしたその時。
最初のコメントを投稿しよう!