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「愛憎物語」
愛をば知らねど 姉弟の
八津練縷之神の導を元に
下に二つは愛を知る
出でし首途を迎へたる
二つは抑 血ぬ繋ぎ
愛なる書とやら取り乍ら
必死に死に道を 掘つている
弟、名うての許嫁をり
傍より告ぐるは「売女の恋か。」
否、俺は姉と くなかひしてをり
口を滑脱せども拭えぬ真に
鬼よ如しの 郎女が
童男を喰って殺めたらば
八津練縷之神の 墓前にて
心が醜男の眼臓供ふ
姉が弟の 死歿を知り
八津練縷之神の行へしを怨む
そいらの神の 墓前にて
悲愁の眼が飾られてをり
狂ふた姉御は 瞳を喰いて
感じた許嫁の妄念を噛み
妄念抱きし女は以って
他郎女の命などを棄て殺したり…
八津練縷之神は
愛の神に して働いている
然れども曩の姉弟は
血が同じで 在つた為
二人を絞りて殺し上げ
その周りも 殺し掃き
神は祈った淡紅色の空に
次の姉弟は 死なせたくなく…
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