「水殺し」

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「水殺し」

昔や昔あらむ処 池が中にて 来去しつつ 水の妖精がそこにゐた 雌雄で恋人を努めていた 言わば破落戸の名をも持つ 変てらな男がここに来て 大層重々なへどろを入れて 厭に笑いながら帰って行った 男は因果の仕業によって 近くは河川の底にて溺死 みるも無惨な軀には いつさいの傷なぞ無かったと 男を殺めた妖精ら 今も池にて燥ぎたり いざ出してみよお前の手 行きは良い良いな帰りや無い無い
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