鈍色の向こう

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降り始めてからそんなに経っていないのに、校庭には水たまりができ始めていて、体に当たる雨粒が痛かった。 見上げた空は容赦なく僕を濡らしていく。 「おいっ!お前何やってんだよ、びしょ濡れじゃん!」 昇降口の屋根の下から遼太が叫んでいた。 「あー。ごめん遼太、そこで待ってて」 「待っててって・・・なんだその奇行」 スコールのような夕立はあっという間に小雨に変わって、遼太の呆れたような呟きも聴き取れた。 雲が流れる。 教室から見えた橙がかった青空と少しの白い雲が僕の近くまで来ていた。 ちゃんと来てくれた。 そう思ってほっとして、そのうちに真上に来た雲を見てフフッと笑いが込み上げた。 犬みたいな形。 「おいっ!航平(こうへい)、お前ずぶ濡れだから荷物持ってきたから、帰るぞ!」 声のする方を振り向くと、遼太が2人分の荷物を持って立っていた。 「ありがと」 急いで昇降口まで戻り靴に履き替えて荷物を受け取る。 「ん」 「ん?」 手渡されたのはビニール袋だった。 「雨ん中上靴のまま外出たから持って帰って洗えよ」 「・・・うわ、お母さんか」 「やめた、もうやらねー」 「わぁっ!ごめん、袋欲しい。ありがとう、下さい」 「お前、最初から素直にそう言え」

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