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時計代わりに枕元におかれたスマホを見ると、4時になったばかり。
まだかなり早いけど、眠りたくないな。
眠ったら、またあの夢を見そうだ。
眠る度に近付いてくる、あの音が、聞こえてきそう。
夜明け前、カーテンからのぞく窓の外のまだ暗い空を目にして、亜夜果は軽いため息をついて、起き上がる。
仕方ない、起きるか。
ゆっくりお弁当と朝ごはんでも作って、気持ちを入れ替えよう。
その後、夜が明けたら、シャワーを浴びて。
出来ればすぐにシャワーを浴びてスッキリしたいところだったが、夜中は意外と水音が響く。
それなりに防音性の高い建物だったけれど、深夜は気を遣って遣いすぎることはない。
……そう言えば。
あの夢を見始めたのは、ここに引っ越して来てからだったな。
就職して、一人暮らしを始めた、このマンション。
新卒の社会人一年目にはいくらか分不相応なオートロック式のワンルームマンション。築10年とは言え、自分一人のお給料では、やや苦しい。
もっと手頃な値段のアパートやマンションもあったが、防犯面が不安だと譲らない両親の顔を立てて(ついでに家賃の援助もしてもらって)引っ越して来たというのに。まさか事故物件?
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