幸せの選択

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幸せの選択

パーティーが終わっても私が帰るのは明日。 その前に、陛下と話をする時間を貰った。 「エリザベス、決定事項だ。もう変える事は……何か違う話…か?」 私の表情を見て、陛下は婚約の話じゃないってわかったんだと思う。 まぁ、婚約の話が発端だから、関係ない訳じゃないけどね。 「……私を殺して欲しいんです。」 「っ何を言ってるんだ……。」 「本当に殺す訳ではありません。」 この方法を受け入れてもらえるならね。 「私の本当の出自をあかします。…けど、聞いたからといってミリオン家を処罰しないと誓っていただけませんか…。」 「場合による。」 ここで言わなくたって、これからバレる。 自分から言うのと、まわりが気がつくのでは違う。 「私はコチ出身なんです。……この前、お父様が潰した、あの街です。」 「…っ!?」 そりゃ驚くよね。養子をとる手続きには嘘を書いてるんだから。 「私は死にかけていた所を侯爵夫妻に助けられたんです。誘拐の時だって、命をかけていたのは殆んど侯爵家の為です。」 手が冷たい。 「私の出自の事でお父様は脅されてました。だから…相手を殺してでも、自分が死んででも捕まえると決めていたんです。」 「セドリックとの婚約を避けたかったのも、侯爵家に迷惑がかかるから…なのか?」 「はい。…それに、今の私がいるとセドリック様の足も引っ張ってしまいます。」 国のトップにたつ男の横にいる女が、雑草を売って、落ちてる物を拾って食べて、ナイフで切られて、傷だらけになってた女だなんて気が付かれれば大変な事になる。 「王家の馬車に乗って家に帰る途中に、毒草を摘みに行って馬車は崖から落ちた。私もそのまま落ちて死んだ…そういう事にしてほしいんです。」 「……」 「馬車を本当に崖に落とす必要はありません。私をどこかで下ろしてくれさえすれば。毒草オタクの私なら、我が儘言って毒草を摘みに行った…って皆思ってくれます。」 「……」 「それも許されないというなら、私はここで死ぬ事も厭いません。それが覚悟です。だから、お父様とお母様…ミリオン家を罰しないて下さい。お願いします。」 どんな事になってもいい。 私は与えてもらった幸せを不幸で返す事だけはしたくない。 「失踪したり自害してしまっては、『婚約が嫌だったからだ』…と言われて、セドリック様も傷つけてしまう。一生罪悪感が消えなくなります。」 私が事故で死んだ。嘘をついてる訳ではないと、そう説得できる力を持つのは王様にしかきっとない…。
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