出口のない迷路

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まわりを火で被われてるけど、中の木にはまだうつってない。 厄介な事に、迷路のまわりの地面だけじゃなく木そのものに油を撒いてあるから小さな斧1つじゃどうにもならない。 私が奇跡的に出られるとしたなら出口から。 出口付近の木には油はついてない。たぶん少し湿らせてる。大切な毒の花が燃えたら意味がないから。 口にハンカチ、頭に引きちぎったブラウスの袖を巻いて進んでいく。 パキパキ… 「うぐぐっ…よし!出れた!次!!」 穴が小さい所は斧で隙間を広げる。 生きられる道がなければ作るのみっ!! 「いっっ!」 この迷路は結構大きかった。5度ほど通り抜けた時には顔に傷が出来たのか、ほっぺを触るとヌルとした。 そんな事は言っていられない。 「一酸化炭素で動けなくなる前に何とかしないと。」 火事で死ぬ1番の要因は、中毒になって動けなくなるから。 「コホコホっ…煙が…。」 まずい…木を伝ってどんどん煙が押し寄せてくる。」 しっかりするのよ!あと少し…! 毒で誰も死んでほしくないと思ったから勉強してきたのよ…!!なのに、フリナでセドリックを殺してしまうなんて冗談じゃないわっ! あんなクソ男に殺されるエリザベスじゃない! 7回ほど通りぬけて、次は炎と煙が見える。 まずい…動くのがつらくなくなってきた。 ここを抜けて右か左、出口は煙で確認できない。 でも私にはわかる。入口は温室側で出口は裏庭。位置から考えれば左よ。 「エリザベスーーッ!!何処だ!!返事をしろ!」 「っ!?」 まずい心配性が近くにいる。 私は這いつくばって出口に向かった。 煙で目がいたくて開けてられない。薄目で確認できたのは炎の色がない事。出口は燃えてない。フリナがあったとしてももう突っ切るしかない。そうしないとどっちみち死ぬ!! ブレザーで顔をおおって出口に突っ込んだ。 バサっと何かを突き抜けたのはわかった。それがフリナだったんだと思う。 「はぁ…はぁ……」 喉がいたい。息をするのも辛い…。 「良くできました。」 うっすらとした意識の中で聞こえたのは、トビーの声だった気がする。
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