離れないために

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次の日 「お母様っ!お父様っ!」 「エリザベスっ!!…よかった!どこにも怪我はないわね?辛かったらすぐに言うのよ!!」 「お母様、泣かなくても大丈夫!先生に言われた通り安静にしてたから。」 「庭に出たいと騒いでたじゃないですか。」 ルネ…安心させようとしてるのに何て事を…。 「…騒いでたけど、出てはいないわ。」 「はは、元気そうで何よりだ。」 お父様は優しく笑ってくれた。 「ところで、殿下はどこに?挨拶に伺おうと思うんだが。」 「部屋にいるから、もう少ししたら下りてくるって言ってたわ。」 「そうか。ならここで待たせて貰うとしよう。」 私達の声が聞こえたからなのか、セドリックは意外と早く部屋から出てきた。 「セドリック殿下、この度は娘のエリザベスが大変ご迷惑をお掛けしまして申し訳ありません。ここで診てくださったおかげで回復しているようで、本当にありがとうございます。」 そういって、お父様とお母様がセドリックに頭を下げた。 「いや、俺は何も。それにこれは俺のせいだ。こちらこそ申し訳ない。誘拐の時も、助けてやれなかった。」 「誘拐はセドリック様は悪くないわよ。私が突っ走ってただけだもの。それに今回も私の我が儘で……って事は、どちらも悪いのは私1人…。いや、でもそれは切ないわ。」 最後の方は言葉が尻窄みになってしまって、皆には聞こえてなかったみたい。セドリックに聞き返されてしまった。 「ボソボソと何を言ってるんだ。」 「…何でもないわよ。お母様とお父様に会えたから、その喜びがあふれ出たの。」 「そんな風には見えないが。」 「……」 2人で喋っているとお父様に笑われてしまった。 そんな私達をラッドさんがサロンに案内してくれた。 フカフカの絨毯が足下に…。裸足で歩いたら気持ち良さそうだわ。 王太子が住んでいるからといっても、一応寮の1つなわけだし、こんな部屋があるのが驚きだわ。身分の高い人が来た時の為の部屋はある…って事ね。 暫く4人でお茶を飲んで『私の日頃の行い』について話している。 「やはり、虫をつけて教室に行ってますか…」 別に大した事ではない気がするけど。 「1度大きな毛虫がくっついていて、その毛にかぶれていた。」 「…リズ。隣にセドリック様が座っている事を重々頭に入れておきなさい。」 お父様が頭を抱えて言った。 「毛虫くらい全然問題はありませんよね…。セドリック様。」 「問題があったから真っ赤にかぶれてたんだろ。」 セドリックにジロっと横目で見られた。 「セドリック様は、あの臭い虫を触ってから虫に厳しいですね。」 「1日中臭かったからな。」 まぁ、あの虫は本当に臭くて死にそうになるから、そう思われても仕方がないけど。 「大きな蛾の毛虫がついてたくらいて大袈裟だわ。蝶なんて大きな青虫に羽をつけただけで綺麗だと言う、その区分けがおかしいのよ。」 「かぶれた事と何のかかわりもない。」 上手くごまかせなかったわ。
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