離れないために

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「殿下、少し2人でお話があるのですが。」 話の途中にお父様がとても真剣な顔をしてセドリックに言った。 「…ああ。では俺の部屋で。」 あっという間に2人は部屋から出ていってしまった。ラッドさんは何かを察したのか付いていってない。 「一体何を話すのかしら。」 気になる…。 「聞いては駄目な事もあるの。リズ、何でも関わればいいというものではないのよ。」 「はい。お母様。」 その通りだわ。あまり詮索するのは止めよう。詮索するもなにも、想像がつかないけどね。 「お母様、ここに来てもうすぐ1年。私はまた家に帰るのだけど、学校に転入するのに試験はありますか?それなら勉強しないといけないので。」 ずっと授業をサボってたなんて言えないわ。 「…それは確認しておくわ。」 「それから、ここで育ててた毒草なんだけど、持って帰っても大丈夫?」 「ええ。」 私はここには残らない。必ずルーシー様を選んでもらう。 最初はミリオン家のためだけだった。でも今は、それだけじゃないって、本当はわかってる。 卑怯だと思う。 私は誰かの為だと言っておいて、最終的に自分の為に私を選ばないで欲しいと思ってるんだから。 ・・・・ 俺の部屋には侯爵と2人。ラッドは侯爵の雰囲気をみてついて来なかった。 「侯爵、話しとは?」 聞いてはみるが、大体予想はついている。 「婚約者選択…もう誰にするのか決めていますか?」 「いや…。」 侯爵はわかってる。俺がリズを選びたいのだと。 「もし…エリザベスを選ぶとしたなら、何からも守るくらいの気持ちを持って頂きたいのです。」 これは、きっとリズの出自、身分の事を言っている。 侯爵はリズの為なら何を捨てるのも躊躇わないだろう。 「娘の事を…聞いてから決めて頂きたいのです。」 「…いや、大丈夫だ。全て知っている。昔、コチで彼女から『モモホシクズ』という花を買った事がある。」 「殿下がですか?」 「ああ、俺がずっと探してた子だ。……だから迷っている。彼女を傷つけない為には選ばない方がいいのか…と。」 「……」 「俺の選択1つで何もかも壊してしまう。『適当に選べばいい』『誰でもいい』そう思っていたのに、今は誰のために考えて答えればいいのか解らなくなった。」 リズは俺をどう思うだろうか…。 選んでも選ばなくても、俺は気持ちさえ伝える事はしない方がいいのか…。 「『娘を選ばないでほしい』…そんな事は私も妻も一切考えておりません。ただ、選ぶ時は殿下も覚悟を決めてほしいのです。」 エリザベスを守るだけの力があるのか…。きっとそういう事だ。 「ああ、俺はきっとエリザベス以外は選べない。」 変わった女で、強くて、がさつで、けど真っ直ぐ俺を見てくれる。そんな人はこれから一生現れないと思うから。
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