最後の選択

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最後の選択

今日の空は紫色。 「この辺も雪が降るのね。」 「国の中で降らない地域の方が少ない。」 「うちの領土の端の方は、ふかふかに積もるの。新雪に飛び込んだら埋まって大変な事になったわ。」 「……」 「何か言いなさいよ。」 「安易に想像できるな。」 「……」 私をどんな女だと思ってるのかしら。 「冬はあまり草花が咲かないからつまらないわ。」 「春に咲くためよ準備期間だろ。」 「ああ言えばこう言う。」 「本当の事だ。」 「…っへっくしょい!」 「もっと可愛いくしゃみは出来ないのか。」 「それ、ルネにも言われたけど、くしゃみに可愛い物なんてないわよ。あー、寒い。」 最近平和で護衛も減った。 エミリオも研究所に戻った。 事件も起こらなくなって、今は何だか物足りない気もする。 「ほら。」 「ん?」 「マフラー、貸してやる。」 「そういえば忘れてたわ。」 「寝坊してたからな。ルネがいるのに寝癖がついてる。」 「髪が伸びたから、前ほど酷くないわよ。」 「酷いという自覚はあったのか。」 「……」 毛先が跳ねてたり後頭部がくしゃっとなってる時はあったけど、あれくらいの寝癖なら許容範囲内だと思うわ。鳥の巣レベルになってたらさすがに恥ずかしいけど。 「このマフラー、誰が選んだの?」 「俺だが、何かおかしいか?」 「瞳と同じ色だから。貴方のね。」 「……」 この学校にくる前に見た夢。 セドリックに初めて会った時の夢で、きっといい事が起こるかもしれないって思ってた。 本人に会うとは思わなかったけど。 もうすぐ、セドリックは婚約者を決める。 ルーシー様を選んでほしい。 「ズバリ聞きます!ううん、言います!」 「なんだ?」 「婚約者はルーシー様でお願いしますっ!」 「もうその話を何度するつもりだ。」 「沢山言えば洗脳出来る気がして…。」 「何だそれは…。」 国王様に言われた通りにするなら私になってしまう可能性の方が高いけど…。
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