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婚約者発表まで1週間をきった。
まだどうなったのか教えてもらえない。
「ルーシー様」
「…何か用かしら?」
凄く嫌そうな顔をしてるわ。まぁ、ルーシー様も私も、誘拐の件があってからほぼ話す事もなかったから仕方がないけど。
「婚約者の件なんですけど、セドリック様から何か聞いてませんか?」
「いいえ、何も。」
「いつ教えてもらえるんでしょうか…」
「発表当日よ。」
「えっ!?そうなの?」
「ええ、知ってるのは陛下と王妃とロビン様くらいじゃないかしら。」
「……」
「安心しなさい。選ばれるのは貴女よ。」
「何故ですか?」
「これでもセドリックの幼馴染みよ。顔を見ていれば容易にわかるわ。貴女が好きな事くらい。」
「……」
「貴女もそうなんでしょう?」
「何故ですか?」
「私は誰かの為に命はかけられない。けど貴女は違う。迷路の火事の経緯は何となく聞いたわ。あの時貴女は何の為に頑張っていたの?あの件に侯爵は関わっていなかったのに。」
「……」
「貴女は言ったわ。好きな人と結婚できるわけがない。貴族の娘なら受け入れるべきだって。なのに悩む必要が何故あるの?しかも、それが好きな人なら幸せでしかないじゃない。」
「私は、選ばれては駄目なの…。」
「それこそ自分勝手よ。まぁ、私が選ばれる事はありえないわ。貴方達が想いあっているなら、どちらも幸せになれる結果はないのかもしれないわね…。」
「そうね…。もしセドリックが私を想ってくれているなら、幸せにはなれないわ。」
「…こういう時には立ち向かわないのね。話はこれで終わりかしら。だったら失礼するわ。」
「はい。ありがとうございます。」
立ち向かうって、何に対して?私は私以外になれないのに。
選ばれた時はどうするのか、この学校に来ると決まった日から決めているわ。
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