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1秒
エリザベスと別れて数時間後、俺は何が何だか解らなくなった。
「……エリザベスが死んだ?」
何を言っているのか、俺は理解できない。さっき笑顔で手をふって帰っていったばかりなのに。
「城からの帰りに毒草を摘みに行ったらしいが…その馬車が崖に落ちて…エリザベスはその中から出る事が出来なかったらしい。」
「……嘘ですよね…。そんな事があるはずがない。この晴れの日に馬車の事故だなんて。ありえません。」
「セドリック、現実なんだ。」
「……」
俺のせいだ……
俺がエリザベスを選ばなければ、昨日の夜、侯爵家の馬車で邸に帰れたのに…。
あの日の女の子に会えた。
初めてあった時から忘れられなかった子だ。
会えたと思ったら、今度は2度と会えなくなるなんて…。
「今から侯爵にも伝えに行く。謝る事しか出来ないが…。」
『俺が行きます』…と言う気力もなかった。
命がこんなに簡単に失くなってしまうなんて。いつも側で笑っていて欲しいと願ったのが悪かったんだろうか。
普段が普段でなくなる瞬間なんて、1秒後にだって来るかもしれないと、何故考えなかったんだろう…。
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