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お断りします
「お花はいかがですか?」
「…全部買ってやる。」
「いいの?同じお花ばっかりだよ?」
「買うと言っているのに売らないのか?」
「ううん、ありがとう。」
・・・・
「エリザベス様、起きてください。」
「ん~、ルネ…何、こんな早くに…」
「明後日から寮生活になるんです。今から邸を出ないと、間に合わなくなってしまいます。」
「あ…そうだった…。」
「そうだった、じゃないです。寮に行ったら全て自分でやる事になりますからね。」
「やだなぁ。」
「ダラダラしない!寮ではいつものエリザベス様にならないで下さいね。」
いつもの私、毒草オタクよ。
「ルネ、王太子の前ではオタク100%で行くつもりよ。」
「お嬢様ぁ…」
「それにしても、婚約者の最終候補になったからって何故転校させられるのかしら。」
「『時々お茶しましょう』…じゃ、解らない事が多いからだと思います。」
「なるほど、私がオタクだとか知らないよね。」
「…オタクじゃなかったとしても、雑草のようなメンタルのお嬢様を選ばないと実は思ってます。」
「ふふ、私も思うわ。」
私はこの邸を出る。
この国の王太子様の婚約者候補として。はっきり言って絶対嫌。
嫌というか、選ばれてはいけない理由がある。
私はこの家の実の子じゃない。花や草を売って生活していた貧困階級だった子。
そんな私をミリオン侯爵が養子に迎えてくれた。
あれから10年。
私がそんな過去の女だとしられれば、侯爵に迷惑がかかる。
王太子と婚約なんてしてしまえば、その事がバレる可能性が大きくなるわ。
ここは全力で回避よ。
絶対に嫌われてみせるわ。
この家に来て初めてあの子の夢をみたわ。何か良いことがあるかもしれない。
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