水晶の舟、花の精

1/1
前へ
/1ページ
次へ
水晶の舟が、白い朝霧の中から、かすかに光りを灯しながら、音もなく、滑ってきた。舟の上には、花の精のような、可憐な、少女が、立っており、抱えている、赤い陶製の壷から、白や赤や黄の花びらをつかんでは、ふり撒いて、ふり撒くたびに、茶色い髪があざやかに、ゆっくりと、揺れる。それは、まるで、お伽の国の映像💖おはなし💖のようであった。 盲目の少年は、ひとり、茫然と立ち尽くし、空を仰いで、何かを見詰めていた、、、そうだ、、、白い雪が、青白い満月製のガラスの、向こう側から、空の向こう側から、遥か空を突き抜けた佛の世界から、無数無量に、地上に降っている。森林は、白く染まり、雪のようなガラスの結晶のような雪のようなガラスの結晶は、緑の川面に音もなく、吸い込まれ、雪のように静かに溶けていった。それは、果して、雪だったのか ガラスの結晶だったのか それとも 佛の慈悲だったのか、、、、、、見えない世界から、降りてくるしろくかがやく何か、を、少年は、霊視したのだロウ、、、、、、少年の双眸から、透明な涙が滲み、少年は、両腕をひろげ、すこしだけ、笑いながら、哭いた。そして、哭いて、哭いて、泣いて、泣いた。跪き、自然に、両掌を、会わせるのだった。 少年が視た、両掌を、会わせた、世界は、どんなものであったのか? それは、少年以外、いや少年にも判らない青空よりもひろびろとした世界、、、佛の慈悲の円光につつまれた世界だったのかもしれない。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加