イマジナリーフレンド・ハッピーエンド

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 死期を悟った夜。  洸太は屋根裏に這いつくばるように上がり、あのロボットのおもちゃを手に取った。 「ごめんな、コウ……」  何度目かの謝罪。  そこで思い出した。自分そっくりの存在を作った理由。  それは天啓のように、頭の中で光る。 「コウ、俺……一番自分に近い家族が欲しかったんだ。誰よりも自分が嫌いで、まず俺が俺を認めないと生きていけなかった」  息が荒くなる。胸が苦しい。  自分の愚かさで犠牲になったコウを想うと涙が流れた。 「会いたいよ、コウ……最期に一目だけでも」  何の役に立たなくてもいい。ただ、会いたい。    その純粋な想いに応えるように、ロボットの目が光った。 「久しぶり、洸太」  懐かしい声。  洸太は目を見開く。 「コウ?どうして……」 「最期はきっと、僕が生まれた場所に来ると計算して洸太とのデータはこちらに残しておいたんだ。お礼を言いたくて」 「お礼?」 「僕を生み出してくれてありがとう」 「そんな、俺、コウに全部やらせたあげく、くだらない嫉妬で君を殺した。もっと向き合えばよかった」  コウは微笑んだ。洸太の後悔を優しく包み込むように。 「僕はデータだ。いつまでも生きるさ。そんなことより、洸太がいなければ僕は生まれなかった。感謝しかないよ」 「俺の方こそ……やっとわかった。君は人生の支えだった」  コウと過ごした日々が脳裏によみがえる。 「ねぇ洸太、僕は君の家族になれたかな?」 「なれた……なれたよ」  視界が涙で(にじ)む。 「ありがとう、コウ」  全て作り物でも、君の愛は、本物だった――そう告げると、コウは幸せそうな笑みを浮かべた。    洸太は目を閉じた。  最期に、満足そうな笑顔を残して。
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