イマジナリーフレンド・ハッピーエンド

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 父親を打ち負かして以降、何もかもが変わった。コウはいつも洸太に付き従うようになった。  「なぜ食事も椅子も他の家族と違うの?」  コウの一言で、父親は洸太にも同じものを出すよう使用人たちに支持した。父親は手は出せないどころか、コウを怖がっているようだった。    もう一つ、決定的な出来事があった。父親は週末ごとに客を招く。仕事の商談がてら屋敷を自慢するのに辟易(へきえき)していた洸太は言葉数も少なく食後すぐ自室にこもるのか常だったが、その日来た客はコウに注目した。 「アンドロイド?……にしちゃ、会話がしっかりしてるな」 「愚息のしがない趣味でして、あ、それより私の絵画コレクションを」 「趣味?もしかして君が彼を作ったの?」  父親の言葉を(さえぎ)り、その人は洸太に話しかけた。スポットライトが当たったかのよう。  初めての経験だった。 「はい、洸太が僕の人格を作りました」  コウが答える。 「外殻は市販のものです。僕がいじったのはプログラムだけで」  父親が面白くなさそうな顔をする中、しばらくコウと簡単な会話をした後にその人は言った。 「僕の友人に、こういうことを研究している人がいるんだ。会ってみるかい?」  そして洸太は後日会った博士のツテで、家を出て全寮制の学校に入り、研究の助手になった。  コウは購入時そのままの姿だったが、博士が「市販品と区別をつけよう」と容姿を変更することを申し出てくれた。  そこで洸太は言った。 「じゃあ、僕とそっくりにしてください」  博士は了承し、コウは洸太そっくりになった。  18歳になり、洸太はアンドロイドの人格形成について第一線の研究者になっていた。  コウはどこでも一緒だ。従来の家事ロボットとしてのプログラムも機能し、完璧な洸太の理解者、そして保護者になりつつあった。  洸太の、思ったことをそのまま口に出す性格は変わらなかった。しかし研究所には洸太と似たり寄ったりの変人がたくさんいたし、口走ったアイディアが課題解決の糸口になることもあった。  全寮制の学校に通ったことで友達ができた。アンドロイド、家事ロボットを伴う生徒もいたが、自分そっくりの容姿にしているのは洸太だけだった。
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