イマジナリーフレンド・ハッピーエンド

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「その光景も毎度おなじみになってきて……見事だけど寒気がするな」  研究所のカフェテリア。何もかも真っ白で清潔な空間の片隅で、コーヒーとクッキーを楽しみながら電子端末で研究データを読む洸太に友人が言った。 「どうして?」  答えるのはそばに立つコウだ。洸太は邪魔されたくない時、会話をコウに任せる。どうせ自分が思った通りの回答をしてくれる。 「どうしても何も気味が悪い」 「洸太に失礼なこと言うなよ。自分だってアンドロイドを帯同(たいどう)してるじゃないか」 「それとこれとは別だろ。これは完全に俺の好みだ」  友人の横でメイド服の美少女アンドロイドが華麗にお辞儀する。 「だって、自分は自分一人で十分じゃないか、そうだろ?」  洸太は答えなかった。  違う、僕にはコウが必要だ、と思った。しかし口に出して反論することはできなかった。 「いや、お前の場合、自分以上の機能をコウにつけてるもんな。……親を亡くしてるのと関係あるのか?」  洸太の顔がカッと熱くなった。ここは怒って当然の流れだと、彼は思った。  でも電子端末から顔を上げることはできなかった。 「おい、言い過ぎだ」  コウが友人の前に立ち塞がる。「悪かったよ」と友人は席を立った。  それきり友人は離れていった。
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