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高次元生物の発生を報せるアナウンスが鳴り響くと、琴森は即座に言い放った。
「花琳さん、海奈さん、深也君はここで待機。残りのメンバーで商店街へ急いで!」
「了解」
「チッ……分かりました」
白雪と少年は談話室から駆け出した。部屋から走り去る少年に対して、柊はべーっと舌を出す。その様子に苦笑いしながら、聖夜は琴森の方を向いた。
「琴森さん、俺達は……」
「あなた達2人にも同行して貰うわ」
所在なさげに戸惑う聖夜に対して、琴森は冷静に告げる。
「え……俺達今日来たばっかりで何も分からないけど、大丈夫かな……」
「大丈夫。白雪君達は長い間特部を支えてきた隊員だから、あなた達のフォローをしても十分戦える。それに……」
琴森は柊を見て悪戯っぽく笑う。
「見返してやりたいでしょ?」
「……うん!」
柊は力強く頷いた。
「行こう、聖夜」
「……ああ、分かった!」
2人は談話室から走り出た。
* * *
外に出ると、黒い乗用車が2人を待っていた。
「白雪さん達は!?」
聖夜が問うと、運転手は冷静に答えた。
「先に行かれました。2人も早く乗って下さい」
促されて車に乗り込もうとしたその時だった。
「おーい!」
後ろから真崎が紙袋を持って追いかけてきた。
「2人にこれを!」
真崎から手渡されたのは青いマントだった。
「これって……?」
柊が首を傾げると、真崎は言った。
「特部の証みたいなものです!支部ごとに色は違うみたいで、うちの支部は青です。それからこれも!」
真崎は、紙袋にごそごそと手を突っ込み、2人に黒いデジタル腕時計を手渡す。
「通信機能がついてる時計です。これを使って司令室からサポートしますからね!」
そこまで言い終えると、真崎はガッツポーズを作って笑顔を見せた。
「2人とも、頑張って下さい!」
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