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25 戦う覚悟
* * *
「失礼します」
「入ってくれ」
3人は総隊長室に入ると、千秋に向かって軽く礼をした。
「総隊長、報告が遅れて申し訳ありません」
「構わない。琴森から話は聞いている。妹の記憶が戻ったそうだな」
「はい……おかげさまで」
「よかったじゃないか。……まだ寮に空き部屋がある。退院したら、君の妹にも一部屋貸そう」
千秋の提案を聞いて、翔太は目を丸くした。
「いいんですか?どうしてそこまで……」
驚きを隠せない翔太に対して、千秋は落ち着いた様子で答える。
「君達を拾ったのは私だからな。それに、君を特部に入隊させた条件は、君達兄妹の生活を保証することだったはずだ」
「総隊長……ありがとうございます……!」
深々と頭を下げる翔太を見て、千秋は微笑んだ。
「では、報告を聞こう。柊、東日本支部で何があったか教えてくれ」
「あ、はい!」
名指しされた柊は思わず姿勢を正した。
「アリーシャという少女が、町の人々を毒で苦しめていたんです。彼女と交戦もしました。逃げられてしまいましたが……」
「そうか……アリーシャについて、何か情報はあるか?」
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