25 戦う覚悟

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「確か……エリスの仲間だと言っていました。私達特部をおびき出すために町の人に悪さをしてたみたいです」 「特部が狙いか……各支部がある町の警戒を厳重にする必要がありそうだな。私から通達しておこう。他に何か気になったことは?」  気になったことと尋ねられ、柊の頭に任務で倒れたことが過ぎった。  翔太の言うように、柊は何度も任務中に倒れたり、立てなくなっている。しかし、その原因が分からなかった柊は、ただの疲れだろうと思い直して首を横に振った。 「いえ……特にありません」 「そうか。……ご苦労だったな。2人ともゆっくり休んでくれ」  そう言って微笑む千秋を見て、翔太と柊は頷いた。そんな中、聖夜がおずおずと右手を挙げる。 「あの、総隊長……琴森さんから聞いたんですけど、俺に渡したい物って何ですか?」 「ああ、そうだったな」  千秋は総隊長室にある大きなデスクの引き出しから、黒いグローブを取り出した。 「これを君に」  聖夜はグローブを受け取った。手にはめてみるとサイズも丁度良く、革製の生地がよく手になじんだ。 「こんな良い物、貰って良いんですか?」 「もちろんだ。……これから先、戦いは激化するだろう。君にも頑張って貰わなければならないからな」 「そうですか……」  グローブを貰えたにも関わらず、聖夜は顔を曇らせた。その様子を見た千秋が首を傾げる。 「どうかしたのか?」
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