25 戦う覚悟

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 聖夜に問われ、柊は真剣な顔を彼に見せた。 「私も戦うよ。それが誰かのためになるなら、私は何だってやってみせる。お母さんも誰かのために頑張れる人になりなさいって言ってたでしょ?」  柊の目に迷いは無かった。2人の覚悟を目の当たりにして、聖夜は俯く。 (やっぱり、俺が甘いのか……)    その様子を見て、千秋は聖夜の肩に優しく手を置いた。 「君の気持ちは分かる。だが私達は戦わなければならない。大切な人を失い、悲しむ人を減らすためにも……立ち止まっている暇はないんだ。分かるな?」  聖夜は目を伏せ、そして頷いた。 「……総隊長は強いですね。俺なんかとは全然違う」  すると千秋はゆっくりと首を横に振った。 「……そんなことはないさ。私も、昔は守られてばかりだった。この命も、彼女に助けられた命だ」 「彼女……?」 「ああ……私の、大切な人だった」 千秋は右手薬指の指輪に視線を落とし、あの日のことを語り始めた。 
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