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27 核心
* * *
「そんなことが……すみません。こんな話させて……」
聖夜が申し訳なさそうに俯くと、千秋は寂しそうに微笑んだ。
「いや、いいんだ。……これは私が、一生背負わなければいけないことなのだから」
「総隊長の、その指輪……形見だったんですね。白雪さんの、お姉さんの」
翔太の言葉に千秋は静かに頷き、口を開いた。
「……高次元生物は、誰かの大切な人を際限なく奪い取る。だから、私達は戦わなければならない……その敵が誰であろうと。聖夜、分かったな?」
「……はい」
「よろしい。もう遅い……今日は解散だ。ゆっくり休んでくれ」
3人は軽く礼をし、総隊長室の扉へ向かった。聖夜が扉を開けようとしたその時、突然向こう側から扉が開いた。扉の向こうに立っていた見知らぬ少女と、聖夜の目が合う。
少し明るい茶色の、サイドテールにした髪、華奢な体、大きな蜂蜜色の瞳。美少女と言って差し支えないその風貌に似合わず、体のあちこちに傷跡が見受けられた。
「君は……?」
「やっと……会えた……」
少女の目から涙がこぼれ落ちる。少女は戸惑う聖夜に駆け寄ると思いっ切り抱きついた。
「え!?」
その場にいた全員が目を丸くした。
「ちょっと聖夜どういうこと!?」
「し、知り合いか?」
「俺が知りたいよ!」
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