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3人がまごついていると、真崎がパタパタと部屋に駆けてきた。
「はぁ……はぁ……お、置いていかないで下さい……って、ここ総隊長室じゃないですか!」
「真崎、この子は誰だ?」
「総隊長!この子、さっき急に押しかけてきて……この絵の人を探してるみたいで」
「これは……聖夜?」
真崎が持っている自由帳には、色鉛筆で聖夜によく似た人物が、子どもが描いたような絵柄で描かれていた。
「ですよね!聖夜君ですよね!ここにいるって言ったら急に走り出して……」
「そうか……分かった」
千秋は少女に歩み寄ると、ハンカチを差し出した。
「とりあえず涙を拭いてくれ」
「あ……ありがとうございます」
少女は聖夜から離れ、涙を拭いた。それから深呼吸をし、千秋を真っ直ぐに見て言った。
「取り乱してすみません……。志野千秋さんですよね?」
「私を知っているのか?」
「はい……宵月博士に聞きました」
「宵月博士……明日人さんか!?」
「ええ……この写真、預かって来ました」
少女は小さなショルダーバッグから手帳を取り出し、そこに挟まっている1枚の写真を取り出した。
「見せてくれ」
その写真には、小学生の千秋と眞冬、そして夏実と春花と共に微笑む明日人の姿が写っていた。もう随分と色褪せていたが、千秋には見覚えがあった。
「これは……あの時の」
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