27 核心

4/8
前へ
/232ページ
次へ
* * *  これを読んでいるということは、旭は無事に特部へ辿り着いたのだろう。  旭は私と共に捕まっていた少女だ。『未来予知』の力を持っている。他にも少し特殊だが……本人に聞いてくれ。きっと力になってくれる。  夏実、千秋、眞冬。久しぶりだな。直接会えずに、こんな形になってしまってすまない。  春花が亡くなったのはニュースで見たよ。はじめは私も高次元生物を恨んだ。だが、春花の死は私のせいなんだ。  私は未来人の誘惑に負けてしまったんだ。亡くなった妻を生き返らせると言われ……言われるがままにタイムマシンで過去に渡り、高次元生物を生み出す手助けをしてしまった。  高次元生物が生まれたのは、私のせいだといっても過言ではない。本当にすまない。  高次元生物は、50年前に潰れた朝丘病院という場所で、現在も生み出され続けている。  未来人のアビリティ、『スケッチ』で生み出された白い制服の人間が、人を攫って、未来の薬品を使って高次元生物にしているんだ。  高次元生物の力は、その人が生前に持っていたアビリティによるものなんだ。例えば、『岩』を操る高次元生物は『岩』のアビリティを持っていた人のなれの果てだ。  今はこの情報を明かしていないが、時が来たら彼らはこの情報を日本中に公表するつもりだろう。そして、アビリティは人を傷つける物だと人々に知らしめるつもりなんだ。  そして、人々のアビリティの使用を制限、監視し、恐怖と高次元生物により、この時代の人々を支配するのが彼らの目的だ。そうすることで、彼らは彼らの未来を……。  すまない。もう時間が無い。とにかく、朝丘病院に来て高次元生物の生産を止めて、未来人を倒してくれ。じきに特部も攻撃されるだろう。未来人は強い。どうか無事でいてくれ。  それから、最後に1つだけ。聖夜と柊を頼む。こんなことになってしまって、もう合わせる顔がないんだ。私の代わりに、どうか2人を守ってくれ。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加