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* * *
「……信じられないが、明日人さんは嘘をつかない」
千秋は手帳を閉じ溜息をついた。
「まさかこんなことになるとはな……」
「……ごめんなさい」
「君が謝ることじゃない。それより……明日人さんは君が特殊だと言っているが、どういう意味だ?」
千秋が尋ねると、旭は自分の胸に手を当てて目を伏せた。
「それは……私、アビリティを2つ持ってるんです。特異体質で」
旭の答えに、千秋は目を丸くする。
「アビリティを2つも……?」
「はい。1つ目は『未来予知』2つ目は……1度も使ったことのない、役立たずのアビリティです」
「そうか……なら、実質1つだな」
旭は頷くと、聖夜に目を向けた。
「え……?」
何故か目が合って、聖夜は首を傾げた。
「そういえば、君は聖夜を探していたんだったな。何故だ?」
千秋に問われると、旭は微笑みながら聖夜に歩み寄って答えた。
「それは……彼が世界を救うから」
「世界を救う!?」
聖夜は驚いて目を丸くした。
「はい。私の視た『未来』では、あなたが世界を救うことになってるの。だから、特部に来る途中、ずっとあなたを探してた。未来人から、みんなを守るヒーローさん」
旭はそう答えると、聖夜の両手を優しく包んだ。
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