27 核心

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 旭に優しく微笑まれ、聖夜は顔を赤らめる。 「ヒーローだなんて、そんな……」  その様子を見て、柊は溜息をついた。 「そうだよ。さっきまで怖じ気づいてたんだよ?」 「ひ、柊……それはそうだけど……」 「本当に聖夜なのかな?人違いじゃない?」 「人違いじゃないです!確かに彼です!」  呆れた様子の柊と、彼女の言葉を必死になって否定する旭。徐々にヒートアップしていく2人を見て、聖夜はオロオロとしながらも仲裁に入る。 「2人とも落ち着けって……」 「聖夜は黙ってて!」 「ちょっと静かにしてて下さい!」 「……翔太~!」  助けを求める聖夜を見て、翔太はやれやれと口を開いた。 「とにかく、俺達がするべきなのは未来人の攻撃に備えることと、朝丘病院で高次元生物の発生を止めること、ですよね」 「ああ。そうだな」 「とりあえず今日は休みませんか?俺も柊も任務終わりですし、旭も逃げてきて疲れてるだろうし」  翔太の進言に対して、千秋は落ち着いた顔で頷く。 「翔太の言う通りだ。旭にも部屋を貸そう。真崎、案内してやってくれ」 「了解です!さ、行きましょう」 「で、でも……」  旭の不安そうな顔を見て、千秋は彼女の気持ちを察し微笑んだ。 「大丈夫だ。未来人の好きにはさせない。明日人さんも必ず救い出す。そうだろう?聖夜、柊」 「はい!離れてた間のこと……聞きたいことも、言いたいことも沢山ありますから」 「だな!俺も……父さんに会いたい。ずっと離れ離れだったけど、俺の父さんは1人だけだから」  千秋は、2人の答えに頷き、旭に優しく問いかけた。 「安心したか?」 「はい……でも、私が不安なのはそういうことじゃなくて……」  旭は顔を真っ赤にして千秋を見つめた。 「1人で寝るの……怖いんです」  その様子を見て、千秋はくすりと笑う。 「なんだ、そういうことか」 「わ、笑い事じゃないですよ……」 「いや、すまない。そうだよな、ここに来るまでに怖い目にも遭ったのだろう。……柊」
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