28 旭と柊

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「えっと……柊さん?」 「あ、ごめん……考え事してて……」 「もしかして、柊さんも聖夜さんに憧れて……!?」 「違うから!そうじゃないよ!」 「そ、そうなんですか?」 「そうだよ!聖夜はただの兄貴だもん!お人好しで、馬鹿みたいに優しくて、放っとけないただの……」 (ただの?違うな。唯一の兄弟だ。大事な……家族だ)  そのことに気が付き、柊は黙り込んでしまう。その様子を見て、旭は彼女の心の中を察して微笑んだ。 「……とっても大事なんですね。聖夜さんのこと」 「うん……そうかも」  柊は少し深呼吸をして気持ちを落ち着けた。 (私、聖夜が取られちゃうって思ってたのかな……子どもみたい。早とちりだったし、聖夜の幸せは、願うべきだし) 「柊さん?」 「まあ、好きになったら教えて。協力するし」 「か、揶揄わないで下さい!」 「あはは、ごめんごめん」  笑ってはみたものの、柊はまだ落ち着けなかった。 「……先にシャワー浴びてもいいよ。とりあえず、パジャマは私の貸すから」  柊はそう言うとタンスから自分の服を取り出して旭に手渡した。 「あ、ありがとうございます……でも……」  口ごもる旭を見て、柊は何かを察した。 「もしかして、怖い?」 「はい……暗い場所と狭い場所はどうしても……」 「なら、大浴場行こ。私も一緒に行くし、暗くも狭くもないから」 「あ、ありがとうございます!」  安心した表情を浮かべる旭を見て、柊は微笑んだ。 「じゃあ、行こっか」
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