28 旭と柊

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* * *  2人は大浴場に着くとシャワーの前に腰掛けた。2人はそれぞれ黙々と頭を洗い、体を洗う。  自分の体を流し終えたところで、柊は隣に座った旭に声をかけた。 「背中、流そうか?」 「あ、ありがとうございます!」  旭はピンと背筋を伸ばした。柊は、背中を洗おうとスポンジを片手に彼女の後ろに立つ。すると、その背中のあちこちにある傷が目に入った。 (酷い怪我……辛い目に遭ってきたのかな……)  柊は傷が痛まないように気をつけながら、優しく背中を洗った。 「痛くない?」 「だ、大丈夫です」  柊は背中を流し終えると、シャワーを止めて立ち上がった。 「湯船に浸かりたい所だけど……その怪我だと難しいかな?戻る?」 「はい……そうします」  2人が浴場を後にしようとした時、ドアが開いて清野が入ってきた。 「清野さん!」 「おや、柊さんと……噂の旭さんかな?」 「そうですけど……う、噂って?」 「敵から逃げてきた少女。失踪した宵月博士の手帳を持ってきたキーパーソン……など。突然現れた君のことで職員の話題は持ちきりだ」  清野が淡々と答えるのに対し、自分が話題に上がっていることに緊張した旭は顔を強ばらせる。 「そう、ですか……」 「ああ。ところで……君、随分怪我をしているね。それでは湯船に浸かれないだろう?」 「は、はい……だから今出ようと思って」  控えめにそう答える旭に向かって、清野は優しく微笑んだ。 「私が治そう」 「え?」  戸惑う旭を余所に、清野は怪我の箇所に手を当てる。すると傷がみるみるうちに治っていった。 「すごい……」 「私の能力だよ。医務室で働いているから、何かあったら遠慮無く来るといい」 「あ、ありがとうございます!」  旭はぺこりとお辞儀をした。すると再びドアが開いて、今度は花琳がやってきた。
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