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「あら、清野さんに柊ちゃん!それと……?」
花琳は旭を見るなり、不思議そうな顔をする。その表情を見て、旭は慌てて口を開いた。
「あ、明星旭です!えっと……」
「花琳さん、彼女は敵から逃げてきた子なんだ。ついさっきここに来た」
清野が説明すると、花琳は納得して頷いた。
「そうなんですね。私は美ヶ森花琳。特部の一員です。よろしくね、旭ちゃん」
「は、はい!」
優しく微笑む花琳を見て、旭は慌てて頭を下げた。
「2人はもう戻るの?」
「旭の怪我が酷かったからそのつもりだったんですけど……」
「少しゆっくりしていったらどうだい?適度な入浴は疲労回復にいい。旭さん、どうかな?」
柊の言葉に、清野は穏やかな声色で提案した。
「は、入ります!柊さん、いいですか?」
「大丈夫だよ。行こっか」
「はい!」
旭と柊は浴槽へ向かった。湯船に浸かると疲れがじんわりと溶けていく。少しぬるいお湯が心地良かった。
「はぁ……」
柊はあまりの気持ちよさに溜息をついた。
「気持ちいいね……」
「はい……そうですね……」
2人が湯船でリラックスしていると、シャワーを浴びてきた清野と花琳も浴槽へやって来た。
「失礼するよ」
「どうぞどうぞ~……」
2人は湯船に浸かると、柊同様に溜息をついた。
「いい湯加減ね……」
「その通りだね……。みんな疲れているだろうし、それも相まって気持ちいいだろう」
「はい。足も伸ばせるし、やっぱり大浴場はいいわね……」
花琳の言葉に3人は頷いた。
「そういえば……柊さん、いつの間に翔太君といい仲になっていたんだい?」
清野の言葉に、柊は目を丸くした。
「え!?ど、どういうことですか!?」
「翔太君、疲れて眠ってしまった柊さんを背負って医務室まで運び、目が覚めるまで傍で待ってたのだが……あの眼差しは間違いなく彼氏のそれだった」
清野はそう言ってニヤリと笑う。
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