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「彼氏って……そんなんじゃないですよ!」
「おや、そうなのかい?」
「そうです!翔太君は仲間ですから!」
「そうか……それは残念だな」
「残念って……もう……」
わざとらしく残念がる清野を見て、柊は頬を膨らませた。
「でも翔太君、柊ちゃん達が来てから柔らかくなった気がするわ。もしかしたら、翔太君にとって柊ちゃんは特別なのかも!」
そう言って花琳も悪戯っぽく笑う。
「あー!花琳さんまで!」
「ふふ……ごめんなさい。でも冗談抜きに2人は良いコンビだと思うわよ」
「そうですかね……?」
柊が首を傾げると、傍にいた清野も頷いて微笑んだ。
「私もそう思う。翔太君には柊さん位ぐいぐい引っ張ってくれる子が丁度良いと思うよ。ね、花琳さん?」
「ええ。私も同じ意見です」
2人に暖かい目で見られ、柊は少し頬を染めながらボソリと呟く。
「……ありがとうございます」
「いえいえ」
穏やかに笑う花琳を見て、柊はふと白雪のことを思い出した。
「そういえば……花琳さん、白雪さんにお礼は言えたんですか?」
柊が尋ねると、花琳は気まずそうに目を逸らした。
「え……えっと……実はね、覚えてなかったの」
「え?」
「昔会ったこと、励ましてくれたこと……覚えてたの、私だけだったみたい」
寂しげに笑う花琳を見て、柊は首を横に振った。
「まだ失恋したとは決まってないです!花琳さん、言っちゃいましょう!」
「い、言っちゃいましょうって……何て言ったらいいか……」
「経験上、告白は気持ちをストレートに伝えるのが良いと思うよ」
清野の提案に、花琳は俯いた。
「気持ちをストレートに……でも、駄目だったら……」
「その時は私達と清野さんが花琳さんを慰めます!白雪さんも、任務に私情を挟む人じゃないですし……大丈夫ですよ!」
柊のキラキラした目に気圧されて、花琳は渋々頷いた。
「……分かった。今度……機会があったら言ってみるわ」
「応援してるよ。花琳さん」
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