30 緊急事態

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「ああ。今回の任務は特部最大の任務だ。決行日は明日19時。施設内の案内は旭に手伝ってもらいたいのだが……問題ないな?」 「は、はい!」  旭は力強く頷いた。 「……話は以上だ。各自準備しておいてくれ」 「はい!」  千秋の言葉に、隊員全員が返事をしたその時。 「た、大変です!!」  総隊長室のドアが開いて真崎が駆け込んできた。 「真崎、何があった」 「動画が……とにかく、モニターに繋げます!」  真崎は自身のスマートフォンと総隊長室の壁に掛かっている大きなモニターを、コードを用いて接続した。  しばらくして、モニターに1人の少年が映った。金髪に野葡萄色の瞳。端整な顔立ちをしたその少年を、聖夜はよく知っていた。 「ノエル……!?」 『……今この動画を見ている人へ。よく聞いて欲しい』  ノエルは一息置いて真っ直ぐ前を見据えた。画面越しに聖夜と目が合う。 『高次元生物は、僕達が生み出した。彼らは元人間だ。人間のアビリティが、彼らの力の源なんだ。つまり……君達を襲うのはアビリティだ』  そう言うと、ノエルは冷たく微笑んだ。 『アビリティは人を傷つける恐ろしいものだ。なのに君達は平然としてアビリティを使う。アビリティで戦う者を褒め称える……愚かだと思わないか?君達が崇拝する力は、君達を傷つけるものと同じだというのに』  ノエルは笑顔を崩さずに語りかけ続けた。 『だから、僕達がこの世界を変える。アビリティを称える君達を支配し、矯正する。そして、アビリティで争いが起きない世界を作るんだ……!逆らう人間は高次元生物で排除する!僕達の……未来のために!!』  動画の再生が終わり、部屋に静寂が訪れた。その信じがたい事実を突きつけられ、誰もが言葉を失っていた。
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