30 緊急事態

4/4
前へ
/232ページ
次へ
「先手を打たれたか……」  千秋は悔しそうに画面を睨み付けた。 「この動画が広まれば、みんながパニックに陥ってしまう……悠長なことを言っている場合じゃありません。総隊長!」  白雪の言葉に、千秋は頷いた。 「ああ。真崎、アビリティ課と連絡を取ってくれ。作戦を前倒しにする」 「は、はい!」  真崎が部屋を出ようと駆けだした瞬間、部屋に入ってきた琴森とぶつかった。 「わっ!?」 「真崎さん、ごめんなさい!急いでて……」 「琴森、どうした?」 「西日本支部、北日本支部、南日本支部から応援要請です!」 「え!?でも今それどころじゃ……どうしますか、総隊長!?」 「くっ……、隊員の安全が優先だ。白雪と花琳は西日本支部に。翔太、海奈、深也は北日本支部に。聖夜と柊は南日本支部に向かってくれ」 「了解!」  隊員達が続々と総隊長室を後にする中、旭は所在なさげに佇んでいた。 (私……これでいいのかな?) 『旭は仲間だからな』  旭の頭に、今朝の聖夜の言葉がよぎる。 (私も何か、聖夜の……皆の力になりたい!)  そう思い、旭はすぐに千秋の元に駆け寄った。 「千秋さん!私に何かできることはないですか?」  旭に強い眼差しで見つめられ……千秋は、頷いた。 「琴森。旭をオペレーター室に連れて行ってくれ。彼女のアビリティは『未来予知』だ。きっと力になってくれる」 「分かりました。旭さん、こっちへ!」 「はい!」  旭は琴森に続いて総隊長室を後にした。
/232ページ

最初のコメントを投稿しよう!

67人が本棚に入れています
本棚に追加