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31 西日本支部
* * *
白雪と花琳が西日本支部前に着くと、そこには膝の高さ程ある蜘蛛が大量発生していた。
蜘蛛達は、頭部にある5つの目で2人を睨み付けると一斉に糸を吐いてきた。
「そうはいかないわ!」
花琳が腕を振ると、無数の葉が飛んでいき糸を切り刻んだ。自分達の攻撃が防がれ、蜘蛛達が僅かに怯む。
「白雪君、今!」
花琳の言葉に白雪は頷くと、右手を高く掲げ指を鳴らした。
「『氷結』!」
白雪の声と共に、周辺の蜘蛛が一斉に凍りつく。白雪が再度指を鳴らすと、氷漬けにされた蜘蛛達はバラバラに砕け散った。
無事に敵を倒したことに安堵したのも束の間、悴む手を擦る白雪を見た花琳は、心配そうに白雪の顔を見た。
「白雪君、HASは大丈夫なの……?」
「ああ……うん。薬を強い物に変えたから、前よりも楽だよ」
「そう……でも無理しないでね」
「うん。ありがとう」
そう言ってふわりと微笑む白雪を見て、花琳は頬が熱くなる。
(だめだめ!今は任務中!)
花琳は自分の両頬をペシペシと叩いた。それを見た白雪が花琳を不思議そうに見る。
「どうかしたの?大丈夫?」
「な、なんでもない!大丈夫よ!」
花琳が慌てて首を横に振ったその時、通信機から声が聞こえた。
『中央支部の応援、来たな!こちら西日本支部オペレーターの岩倉真一だ』
「岩倉さん、現状を教えて下さい」
白雪は冷静に尋ねた。
『おう!……現在、蜘蛛型の高次元生物が大量発生してる。うちの隊員は今市街地のやつの駆除をしてる。とりあえず2人は、高次元生物を倒しつつ皆と合流してくれ』
「分かりました。行くよ、花琳」
「うん!」
『市街地に入ったら北を目指してくれ。遊園地が見える方向だ』
「了解!」
2人は市街地へ向かって駆けだした。
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