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5 反対
4人が報告のために総隊長室に向かうと、そこでは夏実が千秋と言い合いをしていた。必死の形相で迫る夏実に対して、千秋は表情を変えない。
「何で2人を特部に入れたの!?能力の希少性?それとも……」
「夏実姉ちゃん!?」
「聖夜、柊……!」
夏実は2人を見つけるやいなや駆け寄った。
「怪我してない?大丈夫!?」
「大丈夫!」
「大丈夫だよ。だから、落ち着いて?」
「っ……よかった、無事で」
2人の言葉を聞いて、夏実は胸をなで下ろした。
「夏実姉ちゃんこそ、大丈夫?」
聖夜が心配すると、夏実は首を横に振った。
「2人とも、家に帰ろう」
「……?そうするつもりだけど……」
聖夜が戸惑うと、後ろに居た千秋が言った。
「特部は全寮制だ。教育もこちらで行うから高校進学は辞退して貰うことになる。……それを否定する意味で、夏実は帰ろうって言ってるんだ」
「あ……」
「……当然。強引に2人を連れて来て任務まで参加させたみたいだけど、これ以上危険な目には合わせられない」
夏実は千秋を睨んだ。しかし、千秋は涼しい顔のままだ。その表情からは、僅かな動揺すら感じられない。
「……ならこうしよう。今晩だけ時間をやる。だから2人に、入隊するか否かを決めてもらってくれ。それなら文句は無いだろう?」
「……分かった」
夏実は頷き、2人促した。
「聖夜、柊、帰るよ」
「う、うん……」
まだピリピリとした様子の夏実に戸惑いながらも、聖夜と柊は帰路についた。
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