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「あれは……」
門の先にある広場で、異様な光景が広がっていた。巨大な蜘蛛型高次元生物が、遊園地全体に巣を張っていたのだ。観覧車やジェットコースターのレーンにまで、太い糸が絡んでいる。また、糸のあちこちに卵があった。
「あの蜘蛛、あの時の!もしかしたら、エリスもここに……」
「ああ……でも、今は目の前の高次元生物を倒すのが先決だ」
「ええ。分かってる……」
花琳と白雪は蜘蛛の元へ駆け寄った。蜘蛛のすぐ下に、赤いマントを身につけた西日本支部隊員の姿があった。
「中央支部、応援に来ました!」
「ああ、来てくれたか……白雪、花琳」
「お久しぶりです。杏子さん」
杏子と呼ばれた、長い黒髪を三つ編みにし、ひとまとめにした少女……梅宮杏子は頷いた。
「状況は見ての通りだ。今は大人しいが……こいつが親玉であるのは明白だ。早く始末しないと……」
「僕もそう思います。ただ、その前に皆さんのアビリティを確認させて下さい。見ない顔もいますから」
「ああ……そうだな。皆、アビリティを教えてやってくれ」
杏子の言葉に、その場にいた3人の隊員が頷いた。まず、杏子の隣にいたシルクハットを被った青年が手を挙げる。
「僕は西宮拓人。アビリティは『カード』といって、硬度の高いカードで敵を切りつけるものだよ」
それに続いて、切り揃えた紫色の髪をした少女が控えめに手を挙げた。
「私……安斎美純です。アビリティは『影』で、影を自在に操ります……」
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