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最後に、桃色の髪の、頭に2本角を生やした少年が元気よく手を挙げた。
「はい!俺は桃井まなと!アビリティは『鬼』で、鬼並みの力を出せるっす!そこの可愛いお姉さん、彼氏いる?」
そう言ってまなとは花琳にキラキラした目を向けた。
「い……いないけど……。す、好きな人、は……」
(好きな人はいるのよ!でも告白できてないの!!)
花琳が心の中で頭を抱えていると、その本心に気づかないまなとは、花琳に詰め寄って明るい笑顔を見せた。
「そーなんだ!ならさ、戦いが終わったらお茶しない?俺とゆっくりお話ししよ!」
「え、ええ……?」
戸惑っている花琳を見て、杏子はすぐにまなとのマントを引っ張り彼女から引き剥がす。
「こら、まなと!花琳を困らせるんじゃない」
杏子はまなとを睨み付けた。しかし、まなとはそれを全く意に介さない。
「花琳ちゃんって言うんだ!よろしくね~!」
「あ、あはは……」
懲りずに花琳に笑顔を向けるまなとを見て、杏子は呆れてため息をつく。
「はぁ、全くこいつは……。すまないな。白雪」
突然謝られ、白雪は杏子に向かって首を傾げる。
「なんで僕に謝るんですか?」
「いや、険しい顔をしていたから。同じ支部の仲間を……いや、花琳を口説かれて、気分を害してしまったかと思ってな」
杏子に指摘され、白雪は咳払いして普段通りの冷静な顔を意識的に作った。
「気のせいですよ。ところで、杏子さんのアビリティは『テレパシー』でしたよね?」
「……ああ。私のアビリティは『テレパシー』だ。普段は銃で戦っている」
「分かりました」
白雪は蜘蛛を見上げた。蜘蛛の位置、張り巡らされた糸の様子を確認する。しばらくして、1人頷いた。
「……僕が本体を叩きます。まなと君と美純さんと杏子さんで卵の処理を。花琳は拓人君と巣の破壊を。……岩倉さん、この作戦でどうですか?」
『流石中央支部リーダーだ。分かった。問題ない』
「了解。始めるよ、みんな!」
白雪の声に、その場にいた全員が頷いた。
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