31 西日本支部

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「まずは巣を壊す……『木の葉』!」 「『カード』よ、切り刻め!」  花琳が放った葉と、拓人が放ったカードが張り巡らされた太い糸を切り落とそうとする……が、傷はついても落とすに至らない。 「頑丈すぎるわ!」 「僕達のアビリティが効かないとは……」  2人が動揺した矢先、攻撃を察知した蜘蛛の目玉がギョロリと動いた。  蜘蛛は巣から飛び降りると花琳めがけて糸を吐く。花琳はそれを走りながら躱し、蜘蛛の目玉めがけて木の葉を放った。 「あの時と同じ手には乗らない!」  木の葉がいくつかの目に突き刺さり、蜘蛛は苦しそうに蠢いた。 「白雪君!」 「いい動きだ!『氷牙』!」  白雪の放った氷の刃が、蜘蛛の目を完全に潰した。視力を失った蜘蛛の動きが止まる。 「流石……良いコンビネーションだ。白雪、花琳」  巣にかかった卵を撃ちながら、杏子は感心して笑みを浮かべた。 「杏子さん……こっちは終わりました……」 「左側の卵も全部やっつけたっす!」 「ああ。私も終えた!白雪!あとはそいつにとどめを刺すだけだ!」 「分かりました……『氷柱』!」  白雪が右手を高らかにあげると、蜘蛛めがけて空から巨大な氷柱が降ってきた。  鋭く透き通ったそれが、蜘蛛の頭を貫き……蜘蛛はその場にだらりと崩れ落ちた。 「よし……終わった」  白雪は蜘蛛の亡骸を見ながら、手を擦って温める。 (寒い……けど、前ほど酷くはない。無理をしなければ、まだ僕も戦える) 『高次元生物の生体反応消失を確認。皆よくやったな!』  岩倉の声に、その場にいた全員が顔を見合わせ微笑んだ。  しかし、その時。 「本当に終わりだって思ってる?」
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