31 西日本支部

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「その声は……エリス!」  花琳の声に応えるように、エリスが蜘蛛の影から姿を現した。 「久しぶりだね、お姉さん!」 「エリス……やっぱり、あなた達が私達の敵なのね」  敵、という言葉に西日本支部隊員にも緊張が走った。  その場にいる者達の張り詰めた空気を無視し、エリスは無邪気な笑顔を浮かべる。 「やだ、そんなに身構えないでよ~!エリスはただ、エリスの未来のために戦ってるだけ。任務遂行のために戦うお姉さん達と一緒だよ?」 「一緒にしないで!あなた達が高次元生物を生み出したから怪我をした人も命を落とした人もいるのよ!」  花琳が険しい顔で言い放つ。しかし、エリスは動じず、寧ろ花琳を睨み返した。 「それを言ったら、お姉さん達の生きる過去がエリス達の未来を潰したんだよ?」 「未来を……?」 「そ!お姉さん達のせいで、滅茶苦茶だよ……だから修正するの。アビリティの怖さを知らしめて、世界を支配して……」 「……意味が分からないわ」 「分からなくてもいいよ。要するに、特部は邪魔だってこと!」  そう言うと、エリスは謎のキューブを取り出した。キューブは光り輝き、エリスの手に注射器が現れた。  エリスはその注射器を指でくるりと回しながら、花琳達に怪しい笑みを向ける。 「ねぇ、この薬知ってる?アビリティ強化剤っていう、エリス達の時代の薬だよ」 「アビリティ強化剤……」 「アビリティを強める便利な薬だけど……これを過剰摂取すると、人のアビリティ細胞が肥大化して変形……高次元生物が生まれる」  エリスはそう言ってニヤリと笑った。 「何をする気?」 「これを……こうする!」  エリスは注射器を蜘蛛の亡骸に刺し、薬品を注入した。すると蜘蛛の前足がピクリと動く。 「ねぇ、まだ戦えるわよねぇ!」  エリスの声に応じるように蜘蛛は立ち上がった。潰された目が元通りになり、花林達を睨む。 「『本気を出しなさい。あいつらを殺して』」  エリスがそう言った途端、蜘蛛が激しく糸を吐いた。特部全員の足が、蜘蛛の糸によって絡め取られる。 「しまった……!」  糸から抜け出そうともがけばもがくほど絡まり、誰も動けなくなってしまった。 「あはは!身動きとれないね!」  
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