31 西日本支部

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 エリスは高らかに笑った。 「さぁ、誰から殺しましょうか……やっぱり、厄介な氷使いのお兄さんね。『あの銀髪の人間を殺して』」  エリスの声に呼応して蜘蛛が白雪に狙いを定める。 「さぁ、やりなさい!」 「『氷け……』うっ……ごほっ……」  アビリティを放とうとした白雪だったが、突如としてHASの発作が起こり体勢を崩す。その隙に、蜘蛛の牙が白雪に迫った。 「だめ!!『木の葉』!」  花琳は咄嗟に木の葉を放ち、蜘蛛の進路を妨げた。それを見たエリスがつまらなそうに溜息をつく。 「……お姉さん、生意気。『先にあの人を殺して』」  蜘蛛は進路を変え、花琳に向かって突進する。牙が、すぐそこまで迫る。 「く……『木の葉』!」  花琳は何とか目を潰そうと木の葉を放つが、当たらない。 (ここまでなの……?)  花琳の頭を様々な想いが巡った。仲間のこと、海奈のこと、そして……白雪に想いを伝えられなかったこと。 (好きって言えないままだったな……)  花琳が死を覚悟したその時。 「全て……凍てつけ!!」  白雪の声が響き、蜘蛛が、蜘蛛の巣が、足を絡め取っていた糸が、全て凍り付いた。 「砕けろ……!」  白雪が指を鳴らすと、凍てついた全ての物体が粉々に砕けた。足は糸から解放され、高次元生物は再生が不可能なくらい木っ端微塵に砕け散っていた。 「はぁ……はぁ……」  白雪は胸を押さえて蹲った。 「白雪君!!」  花琳は慌てて白雪の元へ駆け寄った。彼の顔色は青白く、体は小刻みに震えている。  花琳は白雪の肩を支えながら、必死な表情で彼に尋ねた。 「白雪君、大丈夫!?」 「……うん。花琳は……」 「平気よ!平気に決まってる!だって……白雪君が助けてくれたんだもの!」 「そうか……よかった」  白雪は、安心した顔で小さく微笑み……花琳に支えられながら、よろよろと立ち上がった。 「……高次元生物は倒した。エリス、君の負けだよ」  白雪はそう言ってエリスを睨んだ。しかし、エリスは不敵に笑った。
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