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32 北日本支部
* * *
花琳と白雪が西日本支部に到着していた頃、翔太、深也、海奈の3人も北日本支部前に到着していた。
「あれは……!」
3人は目を疑った。北日本支部が、青い炎に包まれて燃え盛っていたのだ。職員と思しき人々が建物を遠巻きに見ている。その中にマントを身につけた隊員の姿は無かった。
「あ!あなた達中央支部の!」
人だかりの中から、ショートヘアの小柄な女性が駆け寄ってきた。
「北日本支部の方ですか?」
翔太の問いかけに女性は頷いた。
「はい!私は山野雫。北日本支部のオペレーターです」
「状況は?」
「見ての通り……謎の人物の襲撃で建物が火事になってるわ。あなた達に犯人を捕まえるのを手伝って欲しかったんだけど……」
「この炎の中、入るのは厳しそうだね……」
深也の呟きに、山野は俯く。
「どうしよう……中にはまだ隊員が……」
山野の言葉に、3人は目を丸くした。
「中にいるんですか!?」
「ええ、おそらく……退避命令を出してから連絡が取れないの。外にも出てきてないみたいで……」
「……なら、やることは一つだ」
翔太の言葉に、深也と海奈も頷いた。
「もしかしたら、中で戦ってるのかもしれない。俺達、中を見てきます」
「そ、そんな!危険よ!映像が無いからオペレーションもできないし……」
慌てて止めようとする山野に、翔太は真剣な眼差しを向けた。
「……仲間が危険な目に遭ってるかもしれないのに、黙ってみていられない。それに、俺達は北日本支部を助けるために来たんだ」
「でも……」
「信じて下さい。俺達は必ず任務を遂行してみせます」
「……分かったわ」
翔太の断固とした態度に、山野は覚悟を決めた表情で頷いた。
「但し、無茶はしないこと。自分達の安全を最優先に考えて」
「了解!」
3人は燃え盛る建物の中に向かって駆けていった。
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