32 北日本支部

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「俺達はどうしたらいい?」 「空間をフルに使って、大きく戦って欲しい。敵の攻撃は躱して……」  その時。 ドーン!!  コンクリートの壁が、炎の熱によって爆発した。 「俺に隠れて内緒話か?ははっ!無駄なことを!」  翔太達が見ると、崩れた壁の向こう側でイグニが不敵な笑みを見せていた。雨が降っているにも関わらず、イグニの周辺は青い炎が燃え盛っている。  それを睨みつけながら、特部隊員達は立ち上がった。 「みんな!深也が言ったことを実践するぞ!」  翔太の声に全員が頷いた。 「俺から行く!『渦潮』!」  海奈の声に合わせて、イグニの周辺に巨大な水の渦が発生する。 「無駄だ!『火炎』!」  しかし、イグニの放った炎が渦となり、渦潮を干上がらせた。炎の渦は天井付近まで燃え上がり、建物を破壊し始める。 「はは!作戦会議した割には大したことねえじゃねぇか!」 「海奈だけが相手じゃない!『かまいたち』!」  翔太はイグニの背後に回り風の刃を繰り出した。が、イグニはそれを易々と躱すと、拳に炎を灯らせた。 「『火炎拳』!」  青い炎を纏った拳が、翔太に迫る。翔太がギリギリでそれを躱すと、拳は近くの柱に炸裂した。  柱はミシミシと音を立てて、崩壊を始める。それを見た翔太は素早く下がった。  柱が壊れ、建物の倒壊が始まる。天井から瓦礫が降ってくる。 「崩れるぞ!みんな脱出しろ!」  翔太の声に、海奈と実は頷いた。 「チッ……この戦い、終わらせる訳にはいかねぇってのに!」  イグニは舌打ちをして、翔太達を追って出口の方へ走り出そうとしたが、何者かによって押し倒された。
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