32 北日本支部

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「……逃がしはしない!」  その声と共に、『透明』になっていた深也が、イグニの上に姿を現した。深也は腕の痛みを必死に堪えながらイグニを押さえ込んだ。 「……!こいつ……」 「お前は、瓦礫の下敷きになるんだ!」   「それがお前の作戦か……!」 「そうだ……!お前に建物を破壊させて、その下敷きにさせる。使えるもの全てを使って、僕達はお前を倒す!」 「……そのためなら自分も犠牲にするってか。馬鹿な奴だ!」  イグニは不敵に笑った。するとイグニの服のポケットが光り出す。 「残念だがお前の負けだ!俺はまだ死なねぇ!」  あまりの眩しさに深也は目を瞑る。再び目を開けたときには、そこにイグニの姿は無かった。 「……くそ!」  深也は悔しさのあまり床を殴りつけた。 「深也!早く!」  まだ廊下の真ん中にいた深也に気づいた海奈が叫んだ。 (……今は助かることが先決だ)  深也が出口へ向かって走り出そうとしたその時。  瓦礫が落ちてきて、廊下を完全に塞いだ。 「……そんな」  燃え盛る炎の中、深也は絶望して膝をついた。 (閉じ込められた……終わりだ……)  深夜の頭上から、天井が落ちてくる。瓦礫の中に飲み込まれて、深也は意識を失った。
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