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「……逃がしはしない!」
その声と共に、『透明』になっていた深也が、イグニの上に姿を現した。深也は腕の痛みを必死に堪えながらイグニを押さえ込んだ。
「……!こいつ……」
「お前は、瓦礫の下敷きになるんだ!」
「それがお前の作戦か……!」
「そうだ……!お前に建物を破壊させて、その下敷きにさせる。使えるもの全てを使って、僕達はお前を倒す!」
「……そのためなら自分も犠牲にするってか。馬鹿な奴だ!」
イグニは不敵に笑った。するとイグニの服のポケットが光り出す。
「残念だがお前の負けだ!俺はまだ死なねぇ!」
あまりの眩しさに深也は目を瞑る。再び目を開けたときには、そこにイグニの姿は無かった。
「……くそ!」
深也は悔しさのあまり床を殴りつけた。
「深也!早く!」
まだ廊下の真ん中にいた深也に気づいた海奈が叫んだ。
(……今は助かることが先決だ)
深也が出口へ向かって走り出そうとしたその時。
瓦礫が落ちてきて、廊下を完全に塞いだ。
「……そんな」
燃え盛る炎の中、深也は絶望して膝をついた。
(閉じ込められた……終わりだ……)
深夜の頭上から、天井が落ちてくる。瓦礫の中に飲み込まれて、深也は意識を失った。
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