32 北日本支部

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「当然だよ!深也は大事な仲間だからな!」  海奈はそう言うと屈託なく笑った。その明るい笑顔を目の当たりにして、深也は嬉しさのあまり胸を押さえて微笑む。 (また見れた。海奈の笑顔。海奈や、翔太君……仲間に、また生きて会えたんだ、僕は……)  深也はふと、夢の中の出来事を思い出した。 (海奈が昔言ってくれた通りだった。僕、いつの間にか仲間を信じられるようになって、一緒に戦えて……今の自分、結構好きだな)  そう思ったら、胸が暖かくなり……深也の顔が、自然と笑顔になっていた。 「深也?何ニヤけてるんだ?」 「えっ……ぼ、僕、ニヤニヤしてた?」 「してたしてた!どうしたんだよ?」 「そ、それは……決してやましいことではなく……」  深也がどう弁解しようか目を回していると、向こうから翔太が走ってきていた。 「お、おい!助けてくれ!」 「え、どうしたの翔太君……」 「後ろ……!」  翔太に促されて後ろを見ると、実と共に、特部の白いマントを身につけたブロンドヘアの男女が駆け寄ってきている所だった。  男子の方は長い髪を頭の後ろで一纏めにしており、女子の方は高い位置でツインテールにしている。  2人は翔太に追いつくなり、それぞれ翔太の腕を掴んで、彼を見下ろしながらニッコリと笑う。 「逃げるなんて酷いよ!」 「そうそう!ボクと姉さんの話を聞いてよ!」 「くっ…………」  背の高い2人に捕まり、翔太は心底悔しそうな顔をする。それを見ていた深也は、慌てて2人に尋ねた。 「ち、ちょっと待って。君達、誰?」  深也が尋ねると、2人はよくぞ聞いてくれました!と言わんばかりに顔を輝かせた。 「まずは私ね!……天使の歌声で、あなたのハートを癒します!浜茄子(はまなす)ノアです!」  ブロンドヘアをツインテールにした、少女の方……ノアはそう言うと、突然歌い出した。 『ラ~ラララ~♪』  すると、深也の火傷がみるみるうちに治っていく。 「何これすごい……」 「私のアビリティ、『歌』だよ!傷を癒す力があるの!」  ノアはそう言って深也にウインクした。 「はいはい!姉さんの次はボクね!」  今度は、少年の方が元気よく手を挙げた。
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