33 南日本支部

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「ところで……他のメンバーは?」  聖夜が尋ねると、優一は微笑みながら高次元生物を見た。すると、どこからともなく桃色に輝く蝶が高次元生物の顔を覆った。  高次元生物は視界を遮る蝶を振り払おうとするが、蝶は一向に離れない。 「蝶……?」 「あたしのアビリティよ」  いつの間にか、聖夜の傍らに桃色のお団子頭の少女が立っていた。少女は右手に鞭を握りしめ高次元生物の様子を窺う。 「お見事です。憂羽(ゆう)様」  憂羽と呼ばれた少女は得意げな顔をした。そして、聖夜に気がつくと彼に笑いかける。 「あたしは高蝶憂羽(たかちょうゆう)。アビリティは『蝶』よ」 「そっか……俺は宵月聖夜。よろしく、憂羽」  憂羽は微笑むと、高次元生物に向き直った。 「あいつの能力は見た所パワー型。霧を出してるのは別個体……」 「僕達が確かめただけで、3体の高次元生物の反応がありました。だから、応援要請を出したんです」 「そうなのか……どう戦えばいいんだ?」 『聖夜、まずは霧を払おう。敵が見えなかったら、また不意打ちされる……』  悩む聖夜に、旭が答えた。 「……分かった。まずは霧を出してる奴を倒そう」  その言葉に、その場にいた全員が頷いた。 「でも、この深い霧の中、どうやって探せば……」  柊が眉間にしわを寄せると、憂羽がそれに答えた。 「あたしの『蝶』に探させる」  憂羽が手を合わせると、無数の輝く蝶が霧の中を飛んでいった。桃色の光が、蝶の位置を知らせる。 「……3時の方向に1体、6時の方向に1体!残りは目の前にいる奴!」 「では手分けをしましょう。聖夜君と僕は3時の方向に、憂羽様はここに残って。あなたは6時の方向に」 「分かった!」  聖夜達はそれぞれの方向に向かって駆け出した。
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