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「ところで……他のメンバーは?」
聖夜が尋ねると、優一は微笑みながら高次元生物を見た。すると、どこからともなく桃色に輝く蝶が高次元生物の顔を覆った。
高次元生物は視界を遮る蝶を振り払おうとするが、蝶は一向に離れない。
「蝶……?」
「あたしのアビリティよ」
いつの間にか、聖夜の傍らに桃色のお団子頭の少女が立っていた。少女は右手に鞭を握りしめ高次元生物の様子を窺う。
「お見事です。憂羽様」
憂羽と呼ばれた少女は得意げな顔をした。そして、聖夜に気がつくと彼に笑いかける。
「あたしは高蝶憂羽。アビリティは『蝶』よ」
「そっか……俺は宵月聖夜。よろしく、憂羽」
憂羽は微笑むと、高次元生物に向き直った。
「あいつの能力は見た所パワー型。霧を出してるのは別個体……」
「僕達が確かめただけで、3体の高次元生物の反応がありました。だから、応援要請を出したんです」
「そうなのか……どう戦えばいいんだ?」
『聖夜、まずは霧を払おう。敵が見えなかったら、また不意打ちされる……』
悩む聖夜に、旭が答えた。
「……分かった。まずは霧を出してる奴を倒そう」
その言葉に、その場にいた全員が頷いた。
「でも、この深い霧の中、どうやって探せば……」
柊が眉間にしわを寄せると、憂羽がそれに答えた。
「あたしの『蝶』に探させる」
憂羽が手を合わせると、無数の輝く蝶が霧の中を飛んでいった。桃色の光が、蝶の位置を知らせる。
「……3時の方向に1体、6時の方向に1体!残りは目の前にいる奴!」
「では手分けをしましょう。聖夜君と僕は3時の方向に、憂羽様はここに残って。あなたは6時の方向に」
「分かった!」
聖夜達はそれぞれの方向に向かって駆け出した。
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