33 南日本支部

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* * *  聖夜と優一は蝶の光を頼りに、高次元生物の元へ駆けつけた。  青白い肌に複数の口を持ったその怪物は、その口々から霧を噴射している。蝶が纏わり付いてもお構いなしだった。 「聖夜君、我々が当たりだったようですよ」 「ああ……そうだな」 「どう攻めましょう?」 「俺が敵を崩す。優一はそこでトドメを刺してくれ。……どうかな?」 「良いと思います。分かりました」  優一が手に拳銃を構える。その傍らで聖夜は高次元生物を睨み付けた。 「まずは俺からだ!『加速』!」  聖夜は加速して勢いよく高次元生物に迫った。 「はぁっ!」  加速した勢いのまま高次元生物に殴りかかる。が、高次元生物はそれをいち早く察知し、滑らかな動きで攻撃を躱した。 「何!?」  聖夜が体勢を立て直すと同時に高次元生物は深い霧を吐いた。辺りが先程よりも深い霧に覆われる。蝶の光が届かないほど、視界が悪くなる。 「聖夜君!どこにいますか!?」  優一が叫ぶ。しかし、聖夜は優一を目視できない。 (はぐれた……まずい)  聖夜は辺りを見渡すが、何も見えない。  その時。 『聖夜、右に避けて!』  旭の声が聞こえた。 「右……!?」  聖夜は咄嗟に右に移動する。すると体の左側から青白い腕が殴りかかってくる所だった。 「危なかった……旭、助かったよ!」 『『未来予知』で視たの……聖夜、私が敵の動きを予知するから、私のこと信じて……』 「分かった。旭に合わせる!」  聖夜は頷いて、いつでも動けるように構えた。深い霧の中、旭の声に耳を澄ませる。
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