33 南日本支部

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『聖夜、左!』 「ああ!」  聖夜は素早く左に避けて、高次元生物の攻撃を躱す。 『そのまま真っ直ぐ進んで』 「分かった。『加速』!」  聖夜が加速した先には優一の姿があった。 「聖夜君!」 「優一!良かった。見つかった!」 「はい!合流できて良かった……しかし、この霧の中では……」 「……大丈夫。俺達を信じてくれ」  不安げな優一に、聖夜は力強く言った。 『聖夜、後ろにいる!』  旭の声で振り返るが、まだ姿は見えない。 「……そこにいるんですか?」  優一は旭の言葉を疑いつつも、拳銃をそちらに向けた。 「旭、いるんだな?」 『うん!こっちに向かってくる……』 「分かった。信じるぞ!」  聖夜は一気に加速し、旭の示した方向に突っ込んだ。すると、朧気に蝶の光が目に入る。 「もらった!」  聖夜は高次元生物の腹部に思いっ切り拳を打ちつけた。高次元生物が痛みのあまり体勢を崩す。 「優一!真っ直ぐ撃て!」 「はい……!」  聖夜の声に、優一は頷き、引き金を引いた。聖夜の目の前で、高次元生物が被弾して倒れる。  すると、吹き出されていた霧が収まり、徐々に視界が晴れていった。 「やった……」 「やりましたね、聖夜君!」  聖夜は駆け寄ってきた優一に頷いた。 「ああ……旭のお陰だ。ありがとな、旭!」 『えへへ……』  旭の照れ笑いが聞こえてきて、聖夜もつられて微笑んだ。 「……残るは後2体ですね」 「ああ……2人とも上手くいってるといいけど」  聖夜が蝶の光がある方を見ると、黒い鉄の体を持った高次元生物と……その目の前で膝をついている柊が目に入った。 「柊……!」  聖夜は勢いよく加速して、柊の元へ向かった。  
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