33 南日本支部

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「柊!」 「聖夜……来ちゃ駄目!」 「え……?」  高次元生物に近づいた瞬間、聖夜の体が地面に叩きつけられた。 「うわっ……!?」  聖夜は起き上がろうとするが、体が重くて起き上がれない。 「なんで……」 「多分だけど……敵の能力。そうですよね、真崎さん?」 『はい。解析結果によると敵の能力は『重力』です!』 「相手は重力を操ってるっていうのか……なら、どうやったら……」  良い案が思いつかず、聖夜は唇を噛んだ。 『……まずは敵の能力を解除しないといけませんね』  真崎の言葉に、聖夜は頭を悩ませた。 「能力の解除……それさえできれば、一瞬でも隙があれば……でも、どうやって……」 「……私が隙を作る」 「え!?……できるのか?」  聖夜は柊の言葉に目を丸くした。しかし、柊は真剣な眼差しを聖夜に向けた。 「やるしかないなら……やってみる。聖夜はその隙に相手を倒して」 「……分かった」  聖夜が頷いたのを確認して、柊は高次元生物を睨み付けた。 (翔太君に無理しちゃ駄目だって言われたばっかりだけど……一瞬なら、大丈夫だよね)  柊は高次元生物に手の平を向けた。そして大きく息を吸う。 「『停止』!」  柊の声が辺りに響き渡り、高次元生物の動きが止まる。その瞬間、2人は重力から解放された。 「聖夜!今!」 「ああ!『加速』!」  聖夜は加速して敵に突っ込み、そのまま押し倒した。その時、柊のアビリティが解けて高次元生物の目が赤く輝く。すると、再び重力が2人を襲った。 「……っ!負けるもんか!」  聖夜は重力に負けずに拳を振り上げた。 「この重力を利用して……!『加速』!」
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